[恐竜王国中里]
サイカニア
属・種名:サイカニア・チュルサネンシス Saichania chulsanensis
属名の意味:美しい (ゴビの山脈名にちなんでいる)
分類:曲竜亜目アンキロサウルス科
時代:白亜紀後期
産地:モンゴル南部
全長:4m

 体に鎧を着けていた恐竜としては、「ロストワールド」に出きたステゴサウルスが有名ですが、同じ草食恐竜のサイカニアの仲間の「曲竜亜目」は、その名もずばり「鎧竜」という別名を持っています(ステゴサウルスの仲間は、「剣竜」といいます)。
 「鎧竜」の体は横に平たく、背中から尾にかけて、骨質のスパイク状のとげ・こぶのある装甲盤で守られていました。尾の先にはやはり骨質のかたまりがついており、ハンマーのように振って、タルボサウルスなどの肉食恐竜から身を守ったのでしょう。巨大なハンマーを振るために尾の半ばから、腱が固くかたまって補強しています。さすがにこの尾の直撃をうければ、肉食恐竜たちも無事ではいられなかったでしょう。

[写真:サイカニア骨格]  また、体の両脇にもスパイクの列が外向きに並んでいました。この側面の装甲の形を上から見たバルスボルド博士は、「ちょうど、北斎の描く波のようだ」と言っていました。がっちりとして横幅が広く平らで高さの低い頭部も、多くのこぶで武装されていました。口先は幅広く、鼻の穴は比較的大きく前向きになっていました。このような形質は、アジアの仲間に共通した特徴で北米の種とは対照的でした。

 こんなにごっつい体をしていたサイカニアは、どんな所に住んでいたのでしょうか。研究者の間でも意見が分かれていて、「乾燥した砂漠のような土地に住んでいた」という人もあり、また、「カバのように、水辺に住んでいた」という人もいます。「砂漠説」を主張する研究者は、鼻の穴(鼻孔)の構造や口の中の構造を証拠として上げています。サイカニアの鼻孔は他の曲竜類に比べて気道がとても複雑になっています。独特のらせん状の骨は、現世の哺乳類にも似ていて、粘膜におおわれていたと考えられます。おそらく吸い込んだ空気が肺に達する前に、冷却し湿らせるために効果的だったのでしょう。また、口腔と鼻の管を隔てている骨(口蓋)も強固で、この恐竜がかなり固い植物を食べることができたと推測できます。さらに、舌骨が発達し長い内部舌隆起があるので、しなやかな舌を持っていて、食物をかき寄せることができたのではないかと思われます。以上のような特徴から、サイカニアは暑く乾いた環境に生息していたのではないかと考えられます。

[写真:サイカニア骨格(正面)]  また、「水辺説」をとる学者は、樽に似た胴体・短い四肢・放射状に広がった短い指・口腔から隔てられている鼻道などは、ワニやカメ・カバやサイなどの半水棲または湖沼棲の生物が備えている特徴で、そのため半水棲の湖沼動物ではなかったかと主張しています。
 どちらの説が正しいのかまだ分かってはいませんが、横に平たい体つきや口が体に対して下を向いていることから、林のような場所ではなく、砂漠や水辺のような、比較的開けた場所を住処としていたことは確かなようです。
 今回の展示は、生きていた時のように立った姿で復元されています。モンゴルの自然史博物館で展示されていた時は、組み立てられていなかったのですが、中里で立った姿に復元しました。この恐竜が、モンゴルに里帰りしたときも、立った姿で復元されます。


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Last Update: May. 28, 2007